森のいきものたち:森には、いきものがいっぱい

日本の森には約9万種以上の生物が生息していると言われており、
中には世界中でここ日本にしかいない生物もいます。
自然界には食物連鎖の生物サイクルがあり、
種の多様性を保ちつつ、生物の数もある程度の範囲で保たれてきました。
長い間、人間のくらしともうまく共存していたのです。

 

 

 

 

 

 

 

農作物への被害:でも最近、こんな被害が…

山の中や、特に森と里との境界線付近では、動物による被害が多発し、
周辺に住んでいる人や農作物に大きな被害が出ています。
農林業被害はなんと200億円にも達し、一部では貴重な高山植物の激減や 土壌の流出といった被害まで発生しているのです。

 

【問題】さて、犯人は誰でしょうか?

 

踏み倒し被害
踏み倒し被害
引っ掻きによる家屋損傷
引っ掻きによる家屋損傷

 

 

 

 

犯人は誰?:犯人はこの動物たちだ!

さまざまいる動物たちの中でも、特に人の生活に被害を及ぼしているのが、 シカ、イノシシ、サル、クマです。

シカ
ニホンジカにはホンシュウジカ、エゾシカを含めた7種の地域亜種が生息。茶色の体には夏になると白い斑点が出て、冬になると消えます。北海道から九州、島嶼にも生息し、日本人にとってなじみ深い大型哺乳類です。
近年、その頭数が激増し、農作物をはじめ木の新芽や樹皮、貴重な高山植物を食い荒らす被害を出している害獣となっています。
なお、奈良の鹿は天然記念物になっており保護されています。
イノシシ
ブタはイノシシが家畜化されたもので、ブタの祖先と言ってもよい動物です。本来は神経質で臆病、警戒心の強い動物ですが、最近は田畑に出現し、農作物を食い荒らしたり、人間を襲うことも発生しています。イノシシは非常に賢い動物で、美味しい食物の味を覚え再び現れるようになります。
サル
動物園や猿回しなどでも人気で、身近な動物であるニホンザル。かわいらしい姿とは裏腹に、山などではハイキングに来る人たちのリュックをねらったり、里や町に下りて来て引っ掻いたり、襲ったりするなど最近では凶暴な害獣としても知られています。
クマ
日本にはヒグマとツキノワグマが生息しており、どちらも獰猛で危険な動物です。冬ごもりのために、秋を中心に人里へ下りて来て農作物を食い荒らすことや、出会いがしらの時は人を襲うこともあり危険です。クマも人間を恐れているので、山などでは大きな音を出してクマと出会わないようにしましょう。

獣害のワケ:でも、どうして?

地球温暖化による天候不順で山の食料がなくなる、人間の作る作物の美味しさを知ってしまった、など様々な理由が考えられますが、もう一つの大きな理由として、人間と動物のテリトリーの境界線があいまいになってしまったことが挙げられます。

被害が起きないために:いろんな対策がなされています

里や町へ出没する野生動物が激増してきているため、
全国の自治体ではさまざまな対策が考えられ、
また実行されているものもあります。

 

いろんな対策がなされています

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

里山をつくろう!:提案 緩衝帯という森づくり

さまざまな方法が考えられ、試行されている獣害対策。その中でも環境づくりや動物たちとの共存という視点で優れているのが「里山再生による緩衝帯づくり」です。かつて野生動物たちと人間を上手に隔てていた里山を荒れたままにせず再生することで、動物、人間がお互いに目視でき、その距離を保てる緩衝帯をもう一度整備していく試みです。
荒れた旧里山エリアにはやぶが生い茂り、特にイノシシやシカの恰好の隠れ場所になっています。この茂みを取り払うことで見通しのきく緩衝帯ができ、野生動物たちは人里に近づきにくくなるという大きな効果が見込めます。
また、放置された人工林の整備を進めることで、森の中に光が差し込むようになり、より動物たちが隠れにくい場所となります。同時に、森としての機能を回復できるので、木々の活動が活性化され、二酸化炭素(CO2)をふんだんに取り込める森へと変わっていきます。まさに問題の地球温暖化対策にもなっていくのです。

 

発展的な緩衝帯づくり:発展的な緩衝帯づくりで観光資源にも

里山再生の取り組みでは、「野生動物たちとの共存」が図れるという直接的効果、「CO2をより多く吸収できる森づくり」という副次的効果、そして「新たな産業や観光資源の創出」という地域振興の実現も可能です。これまでも、里山エリアに桃の木を植え、見通しのきく緩衝帯機能を保ちつつ、春先には咲き誇る花の名所、秋にはたわわに実る桃狩りの名所として生まれ変わった地区があります。また、つつじを植えて、シカ、イノシシなどの防御柵の機能を持たせつつ、見事に咲き乱れるつつじの名所として観光資源となっている場所もあります。産業としては、前項でも触れたウシやヒツジの放牧によって、野生動物を遠ざけながら、新たな畜産エリアとして産業を創出したケースも現れています。このように、人間と野生動物を隔てる緩衝帯としての機能に加え、新たな価値を付加する事例が全国に広がってきています。みなさんも、虐殺でない野生動物との共存、そして新たな里山の活用を考えてみませんか。

 

つつじを緩衝帯に植える取り組み
つつじを緩衝帯に植える取り組み
桃の木を活用した里山づくリ例
桃の木を活用した里山づくリ例